この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
相談者様は中小企業の株主で,設立当初は,株主・取締役全員で一丸となって,会社を大きくしてきました。ところが,とある事情で,人間関係が悪くなり,株主・取締役の間で,対立が生じました。そうした状況で,多数派の株主・取締役が,株式の発行を画策し,第三者への株式発行を求める臨時株主総会を招集しました。相談者様としては,ただでさえ少数派株主で,発言力が弱いのに,第三者に株式を発行されて,相談者様の比率が希釈化すると,ますます発言力が弱まると悩んでおられました。
解決への流れ
株式の第三者への発行については,株式の譲渡が定款により制限されていることが多い中小企業の場合,株式発行の目的が問題になる可能性があり,発行目的によっては,募集株式発行差止請求の仮処分等の方法が考えられることを御説明しました。その上で,募集株式発行を行うこととなった,その目的を確認していただきたいと助言しました。特に,合理的な目的があるのか,あるいは,単に多数派が支配権の維持を目的としているのかを確認して欲しいとお伝えしました。
結果として,本件は訴訟等には至りませんでした。しかし,第三者への株式の発行がどのような理由によるものなのか,その内容によっては,株式の発行を差し止めることができる可能性があります。中小企業では,親族内,親族外問わず,内部紛争が生じることもしばしばあります。本件ように経営の苦しい会社だけではなく,経営がうまくいっている会社でも,内部紛争は生じます。会社法や同法の定める手続は,かなり詳細に定められており,中小企業の内部紛争では,そもそも法律の要件を満たしていなかったり,法定の手続を踏んでいないことが,しばしば見受けられます。一見問題がないように見えても,しばらく株主総会を開催していないとか,本件のように株式発行の目的に問題がある等の理由で,意図した効果を発生させられないということもありえます。株主・株式の異動は,株式会社の支配にかかわる非常に重要な問題ですので,いつもと違うことをしようとするときなどには,事前に,予防的に,弁護士へ相談されることをお勧めします。