この事例の依頼主
年齢・性別 非公開
相談前の状況
元派遣労働者から、派遣会社の元担当の対応に不満があったとし、損害賠償請求訴訟を提起されたという事案でした。
解決への流れ
ご依頼をいただき、まずは、元派遣労働者と元担当者とのやり取りを調査し、元派遣労働者側の主張する不当な対応がないことを確認しました。訴訟についても、理由のないクレームとして毅然と対応する方針を固め、損害賠償請求義務を負わないことを繰り返し主張し、裁判所の理解を得て金員の支払なく紛争を終結させる裁判上の和解を行うことができました。
(1)クレーム対応のポイント顧客や事業関係者からクレームがあった場合には、当該クレームが、理由があるもの(当社に非や落ち度があるもの)なのか、理由がないものなのか、まずは事実確認を行った上、方針を検討することが重要であると考えられます。当社の落ち度の程度に応じて、対応できるクレームの範囲を検討し、理由のないクレームに対しては、安易に応じずに、毅然として対応することが必要であると考えられます。(2)派遣登録された問題のある派遣労働者を別派遣先に派遣すべきか本件で争点とはなっておりませんが、こういった問題のある派遣労働者であっても、登録されている場合(登録型派遣の場合)に派遣先に派遣しなければならないのか、というご相談も一定数受けます。労働者派遣法は、派遣元事業者に対して、雇用安全措置に関する努力義務を課しており、法令上の努力義務があり、派遣先を紹介しなくてもよいという回答はなかなか躊躇するところです。当該派遣労働者との間でも、契約関係として善管注意義務を負う準委任契約があるとする考え方もあるようです。他方で、派遣労働者の能力(能力には人格・性格の適切さも含まれる可能性があります。)が不足していたとなると、派遣先から、債務不履行責任や場合によっては不法行為責任を追及されるおそれがあり、派遣元事業者としては悩ましいところです。具体的な事案次第ではありますが、このような状況では、登録型派遣において、単に登録をしたにとどまる場合には、派遣元事業者に派遣すべき法的義務まではないと考えるべきではないかと思います。当該派遣労働者との間で、派遣先を紹介する準委任契約があるとする考え方に立ったとしても、適切な指導を行ってもなお改善しない場合は、善管注意義務違反を問われる可能性を低くすることができるのではないかと思います。参考となる裁判例としても、登録型派遣への登録は、派遣労働契約の締結を意味しないと解釈しています(東京地裁平成17年7月20日労判901号85頁・リクルートスタッフィング事件)。