犯罪・刑事事件の解決事例

長年暮らしてきた家なので,敷地は他人名義だが取得時効が成立しているはずという事例

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成瀬 裕 弁護士が解決
所属事務所成瀬法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

50代 女性

相談前の状況

戦前から代々暮らしてきた建物の敷地が,随分前に亡くなった他人の名義になっているが,取得時効が成立していると思うので,自分の名義に変えたいというご相談でした。おばあちゃんの時代から家があり,ご相談者も結婚するまではこの家に住んでいたそうです。お母さんが亡くなって空き家になった後は,ご相談者が管理を続けていたという話です。土地は他人名義なのに,固定資産税は長年ご相談者が納付していました。

解決への流れ

登記簿を調べると,土地の所有名義人は,自作農創設特別措置法によって,国から払い下げを受けたことになっていますが,既に昭和20年代に亡くなっていました。その相続人は全国各地に散らばり,生死不明の方,相続人不明の方もあったので,被告の特定に難儀しましたが,1年以上かけて何とか調査を終え,裁判を提起し,勝訴判決を受けました。

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成瀬 裕 弁護士からのコメント

戦後間もない頃,出征した男性が戻って来ず,女性が家を守っていた時期のことのようです,自作農創設特別措置法により農地が解放されて,読み書きが苦手な人にとっては何が何だか分からないうちに土地を取り上げられてしまったようです。いつの間にか自宅の敷地が他人名義になっている,土地の境界線は腕ずくで移動されるといったことも日常的にあったようです。区画整理が行われるでもなく,そのまま数十年が経過した地域が,今でもあります。そういう場所の事件でした。そこに長年住んできた方の権利は,取得時効によって確保するのが合理的です。所有名義人はとっくに亡くなり,戸籍上は大勢の相続人が登場しますが,所有名義を取得するためには相続人全員との関係で判決を取得する必要があります。一部が行方不明や生死不明になっていたり,記録が廃棄されて相続人を調査できない状態になっていると,被告を特定するだけでも莫大な手間と暇が掛かりますが,本件はそういう事案でした。この手の事件の処理については,奈良地裁平成27年12月15日判決(平成26年(行ウ)第18号不動産登記申請却下処分取消請求事件)が出ているのでやりやすくなったといえます。