犯罪・刑事事件の解決事例

父親の死亡直前に,同居の長男に全ての不動産が贈与されていた登記が虚偽であると主張して,娘2人が長男と争った事例

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成瀬 裕 弁護士が解決
所属事務所成瀬法律事務所
所在地福岡県 福岡市中央区

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

父親に,3人の子がいました(長女,長男と次女)。父親が亡くなりましたが,その10日前に,所有する不動産全てを長男に贈与して,その旨の登記を終えていました。父親は高齢で,亡くなる数日前には危篤状態にありましたから,長男と贈与契約をしたり,登記の手続をしたりするとは考えにくく,娘2人は,この贈与は絶対におかしいと考えました。

解決への流れ

そこで,まず,不動産の所在地を管轄する長崎地方法務局諫早支部まで登記申請書類を閲覧に行きました。登記申請書類は明らかに司法書士が作成したものでしたが,書士さんは申請を代理していませんでした。いかにも,関わりたくないという気持ちが現れていました。父親と長男本人による申請ですが,長男が父親を代理していましたから,事実上長男の単独申請です。その父親の長男宛ての委任状はワープロで作成されて署名はなく,実印が押捺されているだけでした。しかも,この実印というのを,娘2人は初めて見たというのです。そこで諫早市役所で印鑑登録を調査すると,長男が,父親の代理人として父親名義の印鑑登録証亡失届出書と印鑑登録申請書を提出し,改印手続を行っていました。父親名義の代理権授与通知書を含め,3通の書面は全て同じ筆跡でした。代理権授与通知書には,父親が長男に手続を委任する理由は「病気」と記載されていました。確かに,病気といえば病気,病気ではないといえば病気ではない状態だったようです。しかし,何故,この時期に実印を改印するのか,しかも,見るからにチャチな印章を実印として登録するのはあまりに不自然と感じられました。改印後の印鑑証明書は2通発行されていましたが,いずれも長男が父親の代理人として交付申請していました。この筆跡は,改印手続を行った際の筆跡と同じでした。つまり,ここまで全ての手続は,長男1人がやったことでした。父親は委任状に名前が表示されているものの,その署名は出て来なかったのです。何度か交渉を申し出ましたが応じてもらえないので,訴訟を提起し(所有権移転登記抹消登記手続等請求時件),裁判所から呼び出してもらっても出席していただけなかったので,欠席判決となりました。

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成瀬 裕 弁護士からのコメント

話し合いによる解決を期待していましたが,文書や印章の偽造がありましたから,出て来にくかったのかも知れません。その後,有力な親戚が間に入り遺産分割の話し合いの労を取ることになり,親族の話し合いで解決したようです。